「カエル1」

 今年は春先から大賑わいである。毎年、まだ氷が張るような寒い日から、実家の庭においてある水の張った瓶(瓶としかいいようのない形状、だけど結構デカイ)にカエルが2匹入っている。普段は鈍重なヒキガエルなのだが、瓶の高さは40cmくらいはあるので、そう簡単には入れないはずなのだが、うまいこと入ってくるカップルがいる。あまりに冷たい水中に、ず?っと没しているものだから、過去に一度、「死んでいるんじゃないか」と思って、引き上げておいてみたが、翌日には姿がなかった。

 ヤツらの目的は産卵である。もっとも例年、うまく入れないヤツらが、周りの地面に野放図に産みっぱなしにするので・・・別にこっちに非があるわけではないけどせっかく子孫繁栄にやってきたのに、その努力を無にしてしまうのが忍びないので・・・今年は植木鉢をひっくり返したものなどを周りに配置して、比較的楽に入れるようにしておいた。

 そんなわけで、オフクロによると今年は3カップルも飛び込んできたらしく、瓶の中には寒天につつまれたようなタマゴが、ニョロニョロとヘビのようにたくさん鎮座している。なお、そんな工夫にもかかわらず、地面に産んでしまうソコツ者もいるようで、やっぱり2箇所の産みっぱなしも発見した。一応、土ごと水を張ったバケツに放り込んでみたが、1ヶ月たってもタマゴは孵化しなかった。

 一方、瓶の中では3週間後くらいに小さなオタマでごった返すようになった。例年見る風景なのだが、そのまま順調にカエルになったためしはない。エサをあげるわけではないので、日を追うごとに数が少なくなり、いつの間にかいなくなっているのである。しかし、今年はなんとか育ててやろうと考えていた。カエルは結構長生きらしいのだが、それでもタマゴが育たなければ、いつかは途絶える。周りのどこかにいい場所があるとは限らないので、それなら自分で・・・と考えた。

観察してみると、大体ヤツらは壁際に群れている

「・・・ということはコケでも食べているんか、でも自然ではサカナの死体なんかに群れてもいたなぁ」

と思い、金魚のエサを与えてみたが、どうも食べる様子はゼロである。ネットで調べてみると、雑食性でホウレンソウのゆでたのを食べたりするらしい。わざわざ、用意するのも面倒だし、雑食ならパンでもいいかと与えてみたが、やっぱり食べない。食べないどころか避けている。食べないものを入れておいても、水がわるくなるばかりなので、しばらく様子見することにした。


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作:shun

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