「鼻の話(第一回)」 <おすすめBGM>I WILL SURVIVE/by CAKE/in Fashon Nugget

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 他人の使ったペンを持つのもいやがる若い女性が増えているそうである。行きすぎた潔癖症は、かえって気持ちの悪いものではあるが、増えてるものはしょうがない。そんな女性達に、今受けているのが『うんこの臭いを消す内服薬』というから、凄い所まできている。元々、自力で用をたすことの出来ない老人を介護している人のために開発されたものだが、発売元は思わぬ需要に驚いているそうである。
 本当に最近の女性は皆綺麗で、昔ならブス呼ばわりされたであろう人も、その特異な顔立ちを生かし人生を謳歌している。僕のブスの定義は、1自覚がない 2諦めている の両方を満たしている女性のことを指し、此れに於いてブスは完全に絶滅したと考えている。街を歩いていてもファッキングレートな女性ばかりである。本当にそう思う。いつものように、そんな話がしたかった訳ではなくここら辺で話を戻します。
 自分を綺麗に見せたい欲求は愛されたい願望であります。たった一人にでも愛されているという確信が少ないのか、本当に愛されていないのか、はたまた僕等がたった一人でも愛せないのか、一人の愛じゃ足りないのかは、解りませんがこのどれかでもあり、全てでもある気がします。そして、この願望は全ての者の中で日増しに大きくなっているのです。通りすがりの他人でも、たまたま席を同じくした朴訥フェイスでも、同性でも、親でも我々は絶望的に愛されたがっているのです。
 自分の後にトイレに入った人に気づかうというのはタテマエで、どんなに着飾っても隠しきれない『におい』を露呈させたくないのがホンネであります。愛される為に、体臭を『におい』から『香り』に変容させても、うんこの臭いをバラの香りにするのはかえって笑われてしまうので誰もしません。だから抹殺したのです。消臭という引き金を引いたのです。
 じゃーなんでよー、うんこは臭かったんだよと、酔って絡まれたときに僕等は壁にぶち当たります。とてつもなく大きな壁です。横から別の酔っ払いが割り込んで、危険なものとして記号化する為にクサい臭いを付けたと言い張っています。だってよー、クソはクソでも鼻クソは臭くないから食っちゃうだろ〜ウンコは絶対ダメ!!危ないもん。何故、危ないのか?何故、危険なものなのか?は、解りません。しかし、何らかの必要があって臭かったことは人間が精巧にできた化学的機械という見地からしたら、疑いようのない事であります。そして、その必要すらなくなった今、臭いを感知する『鼻』という器官はどのベクトルに進むべきか進化の岐路を向かえているのです。五感のなかでもあなどられがちな鼻、目や耳はあっても身体検査でシカトされ続ける鼻について少し考えてみたいと思う。『鼻の話』はまだまだ続く。
 鼻が他の感知する器官と顕著に異なる点は、脳による信号の処理の仕方であろう。なんつって。(ちゃんと調べた訳ではないので言い切れない。)例えば、友人の家に入った瞬間にその家の『におい』を君はキャッチする。しかし、上がって間もなくすると”家のにおい”は感じなくなる。においがなくなった訳ではない。同じ信号は感知し続けないという脳の処理システムのせいである。と、思う。時に人は、「鼻がバカになる」と言って笑うが笑止。そういうものなのである。一度、においを嗅ぐと、脳はそのにおいに関する情報を嗅覚から抹消する信号を鼻に送るのである。(Page.2へ続く)

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