「鼻の話(第二回)」 <おすすめBGM>I WILL SURVIVE/by CAKE/in Fashon Nugget

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 匂いがこの先、必要なのかそうでないのか、その答えは考える余地なく前者であろう。グルメな人がいる限り、自分で子育てをする人がいる限り、アウトドア好きな人がいる限り、人間が人間らしく生きようとする限り、匂いは必要とされ続けるだろう。匂いを消そうとする行為は、自分で自分の首を絞めようとするそれである。もし世の中が全ての匂いを消そうという方向に動いているのだとしたら、人々は意識を変えなくてはならない。目に見えないものの存在を認めなければならない。
 鼻の穴は、決して閉じてはいけないのだ。

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 視覚と聴覚を無くして、嗅覚を頼りに生きている人がいる。彼等に直接、聞いたわけではないので推測の域をでないが、「曖昧なのね〜」とカイ・シデンに言われようと、「曖昧でいいんじゃないですか?」とアムロ・レイは言ってくれるはずだ。鼻の話もそろそろ最終局面、ア・バオワ・クウ編を向かえる。
 1m先も解らない海の底のような世に、輪郭を与える唯一の手段が鼻である彼等にとって、見ているいや、感じてる世界は一体どんなものなのだろうか?ヴィム・ヴェンダースの「夢の涯てまでも」であったように、映像化できたらと思う。少し、話をそらします。
 考えて見れば、僕等は普段、視覚にあまりにも頼り過ぎている為に「見えているものが全て」と捉えがちだが、そんなものは脳に伝達する際には、認識するための記号でしかない。聴覚や嗅覚ももちろんであるが、これらは視覚による情報をより鮮明にするデータである。その記号を読み取る脳に個人差はあるはずだから、人によって見えてる世界なんて、全く同じとは言い切れないのではなかろうか?同じ場所にいても、横にいる人とは見てる世界が同じとは限らないということだ。彼等の世界は、視覚で構築する僕等には理解し難いが、脳にとっては単なる情報の処理に過ぎない。僕等が正しいとか、彼等がおかしいとか考えてる時点で、ダメなんだろう、僕は。それでも、生まれもって嗅覚のみで感じ取っている人の世界を知りたい。僕等が知りえない世界があるなら、誰か教えて欲しい。思いついたままさらに行く。(Page.3へ続く)

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