「Bye bye my girl.(Part.2)」 <おすすめBGM>"We rule the school"/by "Belle and Sebastian"/in "Tigermilk"

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 戻ったところでアテなどなかったがとりあえず車を走らせた。あの娘が目にしているであろう街の風景を楽しんだ。そこを歩くあの娘を想像して今井とおもしろおかしく話した。街を2周したところで今井があの娘の出身校を思い出した。そういえば僕も直接聞いたことがあったが他県で馴染みのない共学校の名前を言われたところでどうリアクションしていいのか困ったのを思い出した。早速後部座席に置きざりだったマップを手に取り探すと案外近いので驚いた。本当にあの娘の家は近いのかもしれない。僕は両手を使ってダウジングのまねをし今井をあの娘の出身校まで導いた。市街地から車で10分と離れていないあの娘の出身校は住宅地のはずれにむっつりと建っていた。住宅地といっても広い校舎を照らすほどの明るさはなく、校舎影だか闇だか境界線があいまいで実物よりもきっと大きく見えていたと思う。車を降りフェンス越しに中を伺う僕等は変質者で捕まったら洒落にならないので帰ろうと僕は今井に言った。今井はそんな心配をよそに侵入経路を探している。「マジで帰ろう」懇願する僕の意見も今夜の今井の前では効力を持たない。僕は新聞の見出しに「浪人生校舎にチン入!」とか「恋も受験も片思い、浪人生不法侵入!」とか載ることがどんなにカッコ悪いか説いたが全く今井には通じなかった。今井が侵入しても僕は拒否しようと決めていたが「俺をこんな所まで連れてきたお前に一切の拒否権はない」と今井にきっぱり言われると僕は言うがままだった。正門の脇が開けっぱなしだった為あっさり侵入できた事に今井は不満気であったが、校舎はそう簡単にいくまいと息巻いて今井の足が速まる。遅れまいと僕はできるだけ音をたてないように小走りしなっていたので、今井にドリフの泥棒コントみたいだと笑われた。玄関についても閉め忘れた扉のおかげでこれまたあっさり侵入ができた。下駄箱から適当なうわ靴を取り出した今井は僕の顔に近づけあの娘だと言ってからかった。夜の学校は知っているそれとは大きく異なっているせいか怖くも思えた。たいがい宿直の先生がいるものだが玄関に侵入する際校舎に明りはないか確かめたが本当に真っ暗だった。ここから早く立ち去りたいと思う一方で僕もスリルを楽しんでいたのは確かだ。その証拠にセキュリティのセンサがないことに気がつくと僕の方が今井の前に立って歩いた。僕の発案で図書室に向かうことになった。卒業アルバムがきっとある事は知っていた。この頃になると目が次第に慣れて非常灯の明りで十分見えるようになっていた。とりあえず来賓用のスリッパに僕等は履き替えた。

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作:Grecoviche

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