「Bye bye my girl.(Part.8)」 <おすすめBGM>"We rule the school"/by "Belle and Sebastian"/in "Tigermilk"

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 どうして数学を選択教科にしなかったんだろう?現文の授業中にその事で頭が一杯になる。講義はもちろん何をして如何に点を取るか?に的が絞られ圧縮された静寂で僕はまた幽体離脱ギミだった。誰かこの先に真理を見出せるものがいるのだろうか?何を言ってんだ?予備校の隣にテレビを賑わす新興宗教の支部があって良く今井と中を覗いては観察してはいたが、興味があるというよりはピンポンダッシュに似たその程度の興味でしかない。ただ今の自分にはこの授業の講義はすごく当たり前過ぎて居心地が悪くなるだけだった。僕はただただタメにならない話しが聞きたかった。本を読んだり友達と哲学じみた話をしている法が遥かに楽しかった。「異性間の友情」だとか「自殺について」や「死刑制」や「神の存在」だとか「UFO話」の方がよっぽど楽しかっただけだ。今日今井はまだ登校していない。約束らしい約束はしていなかったが、今夜は例の作戦の為に食事をするだろう。はやく陽が暮れないかと切に思う。
 全ては時間軸で捕らえられ、作用と反作用の間で帳尻を合わせ人間は葛藤なんてものを続ける奇妙な生き物だ。「結果が全て」と「そこまでの過程が大事」なんてどちらでもよく、他人に確認して行く自分よりも、もっと自分で踏みしめて生きるそんな動物になりたい。誰に出すわけも無い、行き先不明の文章をノートに書きなぐる。僕がまだ小さかった頃、男の子には珍しい赤い自転車で川沿いを走っていた頃、それでも、ヒーローものが好きで一生懸命真似をしていた頃、裸足で歩いていたあの頃を、好きだったあの娘が引越して行くのをサヨナラも言えずに見送った日を、廊下に友人を並べ木人拳を真似たり、イルカの置き物を壊して泣いて謝った事や、臨海学校出発日に寝坊して友達に分けてもらったあの真っ赤なウィンナーの味を、そして、こんなダメな僕の側にいつでもいてくれる君を・・・・・・迷子にさせない大人になりたくない。僕の中にいる完全な僕をムキ出しにして”別な生き物”になってみたい。身体がキシム。一つ一つの細胞に蓄積された情報が僕に成長を求められているかのようだ。僕があくびをした所で、講師と目が合いイヤミを言われた。きっと退屈な顔をしていたんだろう。ーーーーお金をもらってるのにそういう態度でいられる職業が不思議でならない。他にもあるのだろうか?「何になりたいか?」もう少し年を取って「何ができるか?」に変わってしまう前に将来を定めようを軽い決心をする。いや、「何ができるか?」に変わらないように年を取りたいと軽く決心した。あの講師のような大人になりたくない。結局、親には悪いが予備校に来たのは体裁で僕の望んでいるものは存在しないらしい。(Page.2へ続く) 

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