「Bye bye my girl.(Part.9)」 <おすすめBGM>"We rule the school"/by "Belle and Sebastian"/in "Tigermilk"

Page.2

 月曜日、あの娘を1限目後に呼び出した。火曜日、今井を交えてあの娘と一緒に食事した。今井の彼女と3人でドライヴに行った水曜日は雨で、折角の前方後円墳も曇ったガラス越しに車の中から眺めただけだった。今井の彼女には今度の日曜日の話しはしていない。ただ会うことだけになっている。木曜日、昨日降り出した雨が強さを増し、自宅ででボブ・ディランの”アイ・シャル・ビー・リリースト”を聴いていると赤間と今井が遊びに来てモノポリーで僕は3連勝挙げた。金曜日土曜日と僕は市内の中古レコード店を一人で回った。探しているレコードは未だ見つかっていなかった。僕の受験に対する姿勢同様、本気で探しているかは自分でも疑問だったがこのまま見つからなくても良い気がしていたのも確かだ。古い聴いた事もない音楽を店員にかけてもらい、試聴する。気に入ったものなんて高価な値段が大抵ついてるから買った試しはなかったが、2、3番目に気になったレコードを購入した。店員に話しを聞いたり、ジャケットを眺めその時代を想像する。僕は”幸せ気分”に満たされていく。一度6万円の値段がつけられたシングルがあって、どうしても欲しくてテープにダビングしてもらったこともある。そう、僕はその商品価値じゃなく楽曲がただただ好きだっただけなんだ。CD化された時真っ先に買ったけどあの時ダビングしてもらったノイズだらけのテープ音にはかなわなかったのを覚えている。
 夜赤間から電話があった。あの娘が明日のことで心配していたと言う。あの娘に電話するように赤間は勧めるが、明日会うからと僕は断った。内心は恥ずかしいからだ。僕のいない間に楽しくあの娘と話しをしていた赤間を少し憎んだ。いや赤間以外の男でも同様だ。あの娘と楽しく話す男どもをマシンガンで片っ端から撃ち殺したいと言うと受話器の向こうで赤間は笑いながら「お前はファシストだ!」と言った。電話を切った後で僕はまだ未熟で独占欲をコントロールできない自分を恥じた。小学生の頃、いとこが買ってもらったばかりの僕のオレンジ色の自転車を借りようとした時、どうしても許せず殴って親に怒られた。何故貸すことすらできなかったんだろう?幼稚園の砂場に隠し作った泥だんごをよしあき君に横取りされたときも僕はよしあき君を泣かた。よしあき君に非はあったが謝っても僕がいつまでも許さない事で先生に叱られた。親も先生も言う事は一緒だった。どうして?何故?なんで?WHY?WHY?WHY?今は自分が未成熟であることは理解できる。でもどうしてあんな子供だった自分が何を守ろうとしていたのか?何故戦ったのか?今は理解できない。何かを落としてきたのか?成長したのか?煙草の匂いが部屋に残らないように部屋の窓を開けた。外気は冷たく体温をイッキに下げた。

ご意見、ご感想はこちらへ!! 

作:Grecoviche

<<<<BACK                  TOP>>>>