「Bye bye my girl.(Part.10)」 | <おすすめBGM>"We rule the school"/by "Belle and Sebastian"/in "Tigermilk" |
Page.2 |
「これから予備校に行くんだ、赤間と待ち合わせるから」 「赤間くんならさっき予備校にいたよ」 (今は君の後ろに隠れてるよと思いながら)「今日、クリスマスイヴだね」 「うん」(うんと頷く女の子が好きになった瞬間だった。) 「教会いくの?」 「何言ってんの?帰るの」(こんなしらじらしい冗談に答えてくれる) 「・・・」 「ねぇそこ座る?」(しまった!上がっている。) あの娘に言われるがママ噴水の前の小さなベンチに腰を下ろす。噴水が定時になったかイルミネーション付きで水しぶきを上げる。”わぁ綺麗”とはしゃぐあの娘に僕は頷く。こんな日常が僕は欲しいだけなんだ。一緒に綺麗と感動したりする日常が。僕は意を決して「実は待ち合わせじゃなく待ち伏せしてたんだ。君に会うために・・・。・・・好きなんだ」そう言うと僕は紙袋を渡し席を立った。「ありがとう」と笑ったあの娘の笑顔を見た瞬間、僕の中で山下達郎のクリスマス・イヴとワムのラスト・クリスマスがMIXしたイイ曲が鳴っていた。「今付き合ってとは言わない。もし良ければ春まで待つから」と告げ改札まで見送った。あの娘は何度も振りかえって手を振っていた。 駅を出て噴水の前を通りかかると今井と赤間が待っていた。用意してくれたのか缶ビールを飲んでいた。今井が一本を僕に差出し、どうだった?と聞いてきた。僕は勝手な思いを告げるだけ告げてあの娘に迷惑でなかったか心配だというと”まぁ飲め”と赤間が励ましてくれた。缶ビールの栓を開けた途端顔めがけて泡が飛び出し僕は大声を上げた。また定時で噴水がイルミネーション付きで吹き上げたがその声は駅周辺に木霊した。その缶ビールのクチを押さえて振って今度は今井と赤間とかけあった。なんて能天気でなんて意味のない日常が今日にはなかった。 |
||
|
||
ご意見、ご感想はこちらへ!! |
作:Grecoviche |
|